Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

榎戸 里佳

ベルギー

Now or Never

榎戸 里佳さん

教育学部 学校教育教員養成課程
留学期間:2019年9月 ~ 2020年3月
留学先:カトリック大学ルーヴェン

留学先大学について

KU Leuvenは1425年設立ヨーロッパ最古のカトリック系総合大学です。世界大学ランキングで常に50位以内に入り、革新的な大学ランキングでは1位に輝きます。キャンパスは首都ブリュッセルから電車30分、ブリュッセル国際空港から電車15分とアクセス良好なオランダ語圏の街Leuvenにあります。Faculty of Artsには日本学科があり、現地の学生と交流できます。ヨーロッパをはじめ、アジア・アメリカからの留学生も非常に多く、学ぶ意志があるものに開かれた大学です。図書館をはじめ歴史あるキャンパスで学ぶことができます。

学習面について

授業は途中休憩も挟んで1コマ2~3時間です。初めは内容が全く理解できませんでしたが、次第に耳が慣れ、聞き取れるようになりました。また、授業内容に関する分野を事前に予習すると理解が進みました。留学生向けの多くの授業は講義形式であり、期末試験やレポートによって評価されます。試験は、選択式と記述式がありました。選択式の場合は、間違った分の点数も減点されることがあります。記述式の場合は、辞書や授業の資料が紙媒体で持ち込み可能ですが、知識をもとに自分の考えを述べることが求められ、授業の内容に加えて興味関心のあるところを深めておく必要があると感じました。1科目の単位数が多く、単位取得のためには膨大な範囲の学習が必須です。試験期間の1か月は苦しいですが、素晴らしい図書館や現地の学生たちの助けもあり、乗り越えられました。

生活について

Leuvenの街は円形で、円の反対側まで徒歩40分ほどです。街の中心部には飲食店や衣料品店があふれ、学生の街らしくスーパーマーケットやコインランドリーは至る所にあります。ランチには、安くて美味しいバゲットやスープのお店に行きました。外食は日本より高いです。しかし、ベルギーでは外食をして家族や友人とゆったり過ごす時間を大切にする習慣があります。学生団体によるイベントも盛んです。日本学科のルーヴェン学生フォーラムやアジア系学科の学生たちからなるASAでは、現地の学生と留学生とが交流できました。現地の学生は毎週末帰省するため、土日や長期休暇中は留学生同士で過ごしました。バディとは出発前からメッセージのやり取りをし、留学中も困ったときには助けてくれたり、ベルギーの家庭料理をふるまってくれたりしました。ベルギーはヨーロッパの中心部というだけあり、格安の長距離バスや航空、鉄道も充実しており、イギリスやフランスをはじめ、多くの国を訪れやすいと思います。ほとんどのカフェや観光施設、学生証取得後は大学のキャンパスで無料Wi-Fiが利用できます。

留学で得たこと

私が留学で得たと感じるのは、多様な価値観、批判的思考力、自己主張です。まず、ベルギーは移民が多いし、寮や大学には現地の学生のみならず中国やスペインなどアジアや欧米の様々な国から来た留学生がいました。国が違えば常識や文化、習慣が違うことを体感しました。異なる価値観を理解すると、相手をより理解したり、自分から上手く伝えたりしたいと思いました。さらに、外から日本を見たり、海外の常識を知ったりして、今まで自分にとって当たり前だった物事に気づき、疑問を抱くようになりました。一方で、日本独自の良さも知り、将来世代につなげたり、世界に発信したりしていきたいと強く感じました。それから、海外ではより一層自分の気持ちを言葉にしなければ伝わらないことがわかりました。日常でもディスカッションでもみんな自分の考えをはっきり述べます。もちろん思いやりはありますが、日本のような空気を読むことを美徳とする文化はありません。それが日本人は優しいと評価される所以であり、貴重な文化だと思います。同時に、お互いに主張し合えるのが対等な関係なのだとも感じました。いざ勇気を出して話してみると、一生懸命聞いてくれ、私の考えを受け入れてくれました。

後輩へのアドバイス、信州大学へのメッセージ等

交換留学には必ず素晴らしい出会いが待っています。もちろん、マイノリティとして過ごす中で厳しいこともあります。今回は、コロナの影響でアジア人に対する風評被害を感じ、恐怖を感じる事件もあり、不安な気持ちになりました。相手の立場だったら、自分もそのような弱い心をもってしまうかもしれないと感じました。しかし、現地にはそれはおかしいと言って優しく接してくれる友人もいました。困難な経験は、自分自身と向き合うきっかけであり、新たな発見を与えてくれたり、進歩したりするための重要な一歩なのだと実感しました。交換留学は一生に一度できたら最高な経験です。KU Leuvenという大学に留学する機会を与えてくださった信州大学、グローバル教育推進センター、国際交流課、教育学部グローバルデスクの方々、そして、応援してくれた家族や友人に感謝の気持ちでいっぱいです。最後に、知の森基金の支援のおかげで安心して留学に臨むことができました。感謝いたします。ありがとうございました。